KAPSについて
「納期が読みづらい」「品質がばらつく」「急な依頼に対応できない」——金属加工業界では、こうした課題を抱える企業が少なくありません。
興和製作所では、こうした課題に応えるために、平成13年に社長が発案した独自の生産管理システム「KAPS(Kowa Advanced Product System)」を導入しました。本ページでは、KAPSがどのように機能し、発注側メーカーにどのようなメリットをもたらすのかについて、詳しく解説します。
KAPSとは

定義
KAPS(Kowa Advanced Product System)は、興和製作所のオリジナル生産管理システムです。加工の流れを詳細に標準化・マニュアル化することで、納期の予測可能性を高め、品質のばらつきを最小化し、急な対応に強い体制を実現しています。
導入の背景
平成13年、興和製作所の社長によって発案されました。当時、多くの加工企業では、加工手順が属人的で、段取りに時間がかかり、品質にばらつきが生じるという課題を抱えていました。
KAPSは、こうした課題に対して、「全ての加工を標準化する」というアプローチで対応するために開発されました。
3つの主要な取り組み
KAPSは、以下の3つの柱で構成されています:
- 治具の継続的な改良:加工効率を高めるための治具を継続的に改善
- 外段取りの手順書化:加工前の準備作業を標準化し、段取り時間を短縮
- 作業の標準化:加工手順をマニュアル化し、誰が作業しても同じ品質を実現
加工フロー & KAPSのメリット
興和製作所の加工は、以下のフローで進みます。各段階で、KAPSによる効率化と品質向上が実現されています。
ステップ1:加工材料入荷
プロセス
お客様から依頼いただいた材料が到着します。
【画像領域】
KAPSのメリット
材料受け入れ時の品質基準が明確に定義されているため、不良材料の混入を防ぎます。「どの基準で受け入れるのか」が統一されているため、受け入れ判断がぶれることがありません。
ステップ2:配送欄への配置
プロセス
受け入れた材料を、加工のために配置します。この段階で、材料の確実な管理が行われます。
【画像領域】
KAPSのメリット
材料の配置位置や管理ルールが標準化されているため、加工スタッフが材料をすぐに見つけられます。材料の紛失や重複加工を防ぎ、加工効率を高めます。
ステップ3:加工予定・加工機械選定
プロセス
図面に基づいて、どのような加工が必要か、どの機械を使うべきかを事前に決定します。
【画像領域】
KAPSのメリット
加工内容に最適な機械が事前に選定されているため、段取り作業がスムーズに進みます。「どの機械を使うか」が事前に決まっているため、機械の空き時間を効率的に活用でき、全体の加工時間が短縮されます。
ステップ4:外段取り作業工程
プロセス
加工前の準備作業(工具の準備、治具のセット、機械の調整など)を行います。
【画像領域】
KAPSのメリット
外段取りの手順書が詳細に作成されているため、誰が準備作業を行っても、同じ時間・同じクオリティで完了します。段取り時間が予測可能になるため、全体の納期が読みやすくなります。急な追加注文にも対応しやすくなります。
ステップ5:内段取り作業工程
プロセス
加工物を機械にセットし、最終調整を行う作業です。
【画像領域】
KAPSのメリット
内段取りの手順が標準化されているため、作業ばらつきが生じません。経験年数や技術レベルに関わらず、全てのスタッフが同じレベルで作業を完了できます。結果として、品質のばらつきが最小化されます。
ステップ6:2次加工・バリ取り作業
プロセス
初期加工後、必要に応じて2次加工やバリ取りなどの追加加工を行います。
【画像領域】
KAPSのメリット
2次加工の工程も標準化されているため、作業時間が予測しやすく、品質が安定します。「このような形状なら、このくらい時間がかかる」という基準が明確に定義されています。
ステップ7:品質管理・出荷
プロセス
加工完了後、最終的な品質確認を行い、検査に合格した製品を出荷します。
【画像領域】
KAPSのメリット
品質チェック項目が明確に定義されているため、検査がぶれることがありません。「全数が同じ基準で検査される」ため、不良品が出荷される確率が極めて低くなります。
KAPSがもたらすメリット
メリット1:納期が読みやすい
加工の各段階が標準化されているため、「この形状なら、この工程にいくらの時間がかかる」という基準が明確です。
結果として、発注側メーカーは納期を確実に予測できます。「いつまでに納品されるのか分からない」という不安がなくなります。
メリット2:品質がばらつかない
加工手順がマニュアル化されているため、「今日の製品と明日の製品で品質が異なる」といった事態が生じません。
経験年数や個人差に関わらず、全ての製品が同じ精度で加工されます。
メリット3:急な変更・追加注文に対応できる
作業の標準化により、段取り時間が短縮されています。「急に仕様が変わった」「今日中に100個追加で欲しい」といった急な依頼にも、スケジュール次第で対応が可能です。
メリット4:コストが明確になる
加工時間が正確に予測できるため、コスト計算も正確になります。「想定外のコストが発生した」という事態が少なくなります。
メリット5:多様な人材が活躍できる
加工手順が明確に定義されているため、経験年数が少ない人、女性、シニア層なども、ベテランと同じレベルで活躍できます。
これにより、当社は人材確保が容易で、安定した体制を保つことができます。つまり、「人員不足による急な対応不可」といったリスクが低いのです。
KAPSと設備の組み合わせ
KAPSの価値は、当社の充実した設備があってこそ、最大限に発揮されます。
例えば、5軸マシニングセンターは非常に高度な設備ですが、その性能を引き出すには、高度な技術と標準化された作業手順が必要です。
当社では、KAPSによる標準化と、複数台の5軸マシニングセンターを組み合わせることで、複雑形状プーリの高精度加工を、短納期で実現しています。
設備だけでも、標準化だけでも不十分。両者の組み合わせが、真の競争力を生み出すのです。
KAPSが導入されていない加工企業との違い
従来の加工企業
- 加工手順が属人的
- 段取り時間が読みづらい
- 品質にばらつきが生じることがある
- 急な変更に対応しづらい
- 人材に依存しがち
KAPS導入の興和製作所
- 加工手順が統一・標準化
- 段取り時間が予測可能
- 品質が安定
- 急な変更・追加注文に対応可能
- 人材に依存しない体制